マンションでは美観を維持し、建物の劣化や設備の故障を防ぐため、定期的に大規模修繕を行う必要があります。大規模修繕を実施する際には高額な費用が必要になるため、どのくらいかかるのか詳細を知っておきたいという方も多いでしょう。
本記事では、マンションの大規模修繕に関する費用目安や修繕積立金の積立方法、費用が足りない場合の対処法などについて解説していきます。大規模修繕を計画しているマンションの管理組合やオーナー、管理会社の方は、ぜひ参考にしてみてください。
マンションの大規模修繕の費用目安
まずはマンションの大規模修繕にかかる費用目安について、マンション一棟あたりにかかる費用とマンション一戸(一世帯)あたりにかかる費用の2つをご紹介します。
なお、マンションの規模や劣化状態、修繕をする箇所や内容などによっても大規模修繕の費用は異なります。ここからご紹介する費用目安については、あくまでも参考程度にとどめておいてください。
マンション一棟あたりの大規模修繕の費用目安
マンション一棟あたりの費用目安は、国土交通省が発表している「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると以下のとおりです。(※)
● マンション一棟あたりの費用目安:約4,000万~6,000万円
上記の費用目安には、防水工事や外壁塗装、シーリング工事、鉄部塗装、設備系の工事などの費用や現場管理費、仮設工事費などが含まれています。共通仮設費のみ含まれていない点にご注意ください。
また後述するマンション一戸あたりの費用目安を考えると、上記は40〜60戸のマンションの費用と想定できます。マンションの規模や修繕内容などによって、上記の費用目安よりも安くなったり高くなったりすることを認識しておきましょう。
大規模修繕に関する費用を詳しく知りたい場合は、まずは施工会社に建物の劣化状態を診断してもらい、修繕する箇所や内容を決めてから見積もりを依頼することがおすすめです。
※参考:国土交通省. 「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」.https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001619430.pdf , (2023-09-15).
マンション一戸あたりの大規模修繕の費用目安
マンション一戸あたりの大規模修繕の費用目安は、以下のとおりです。
● マンション一戸あたりの費用目安:100万~125万円
どのような規模のマンションであっても、上記費用目安をマンションの戸数に掛け合わせれば、大まかな費用目安は算出できるでしょう。なお、こちらは前述したマンション一棟あたりの費用目安と同様の工事内容を想定しており、共通仮設費は含まれていません。
費用以外に、マンションの大規模修繕の周期や期間、流れなども知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
マンションの大規模修繕に関する基本マニュアル! 工事期間や実施の流れについて徹底解説
大規模修繕の費用は修繕積立金で支払う
マンションの大規模修繕の費用は、基本的に修繕積立金で支払います。修繕積立金とは大規模修繕に必要な金額を、マンションの居住者から毎月集金して積み立てるものです。
分譲マンションの居住者は、必ず修繕積立金を支払わなければなりません。支払わない場合は督促状が届き、最終的には裁判所へ申し立てをされて住居を差し押さえられてしまう可能性もあります。
一方で賃貸マンションでは、マンションの貸主であるオーナーが大規模修繕の費用を負担するため、特別な取り決めなどがない限り、入居者は修繕積立金を支払う必要はありません。
修繕積立金の平均金額
国土交通省の調査によると、マンション一戸(一世帯)あたりの修繕積立金の平均金額は以下のとおりです。(※)
● マンション一戸あたりの修繕積立金の平均金額:1万1,243円(/月)
なお駐車場使用料などからの充当額を含む場合の、修繕積立金の平均金額は1万2,268円です。修繕積立金の費用を決める際の参考にしてください。
※参考:国土交通省.「平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」.https://www.mlit.go.jp/common/001287570.pdf , (2023-09-15).
修繕積立金の積立方法
修繕積立金には主に2つの積立方法があります。それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
段階増額積立方式
段階増額積立方式は、段階的に修繕積立金を増やしていく積立方法です。マンション新築時は負担額が少ないですが、一定期間ごとに徐々に修繕積立金が増えていきます。金額が都度変わるので管理が難しく、滞納される可能性が大きいことがデメリットです。
均等積立方式
均等積立方式は、大規模修繕にかかる費用を均一に集金していく積立方法です。金額が一定なので、マンションの居住者は金額の計算や確保をしやすいでしょう。マンションのオーナーや管理会社にとっても、金額が変動しないので、増額の度にマンションの居住者の合意を得る手間が省けます。
ただし均等積立方式の場合、新築時から集金額が高めであることは認識しておきましょう。マンションに長く住む予定の方にとっては金額が分かりやすく好まれやすいですが、マンションを売却する予定のある方にとっては、段階増額積立方式と比べて負担が増えやすい点もデメリットです。
大規模修繕の費用が足りない場合はどうする?
ここまで、大規模修繕の費用目安や修繕積立金などについて解説してきました。大規模修繕に必要な費用を計画通りに集められれば問題ないですが、場合によっては費用が足りなくなってしまう可能性もゼロではありません。
費用が足りないからといって大規模修繕を行わずに放置していると、劣化が進みマンション自体の寿命が縮んでしまいます。また設備が故障して生活が不便になったり、手すりが外れてけがをしてしまったりする恐れもあるため、大規模修繕は先送りにせずに必ず実施しましょう。
大規模修繕の費用が足りない場合の対処法を3つご紹介していきます。
大規模修繕の内容を見直す
大規模修繕の内容を見直すことも大切です。大規模修繕において、修繕や補強、メンテナンスをする箇所は多岐にわたります。どれをとっても必要な工事ではありますが、費用が足りない場合には優先順位を付けて、劣化状況がひどい箇所や放置していると大きなリスクになり得る箇所の工事のみを実施するようにしましょう。優先順位を付ける際には、施工会社と相談してプロの視点からアドバイスを貰うことが大切です。
優先順位の高い箇所のみ修繕を行った後は、長期修繕計画の内容や修繕積立金の見直しを行ってください。
金融機関から借り入れる
大規模修繕の費用が足りない場合、金融機関から借り入れるというのも一つの方法です。ローンを利用する場合には、事前にマンションの管理組合で決議が行われている必要があります。マンションの居住者の中にはローンの利用に反対する人もいるため、丁寧に説明や説得をすることが大切です。
またローンの利用には金利がかかるため、長期的に考えると他の対処法よりも費用がかかってしまうことがデメリットでしょう。金融機関からの借り入れは、一時金や大規模修繕の内容の見直しなどを行ってもどうしても必要な費用が足りない場合に、最後の手段として検討するのがおすすめです。
大規模修繕を検討している方はBIG HAMAへご相談ください
大規模修繕ではマンション一棟あたり数千万円単位の費用がかかる可能性があるため、前もって計画を立てておき、マンションの居住者から修繕積立金を徴収する必要があります。
しかし建物や設備の劣化状態によっては、元々予定していた大規模修繕の範囲や内容が変わり、費用が足りなくなってしまう可能性もゼロではありません。本記事では費用が足りない場合の対処法をご紹介しましたが、定期的に建物診断を行い、劣化状態や大規模修繕計画を変更する必要はないかなどを確認していくことが大切です。
BIG HAMAでは、マンションをはじめとした大規模物件に特化した建物診断や外壁塗装、防水工事、タイル工事、シーリング工事、屋根・板金工事などのサービスを提供しています。建物診断では豊富な知識と技術のあるスタッフが現状の問題を分かりやすくまとめて、必要な工事を具体的にご提案します。
予算やご要望に合わせて複数のプランを提示することも可能なので、マンションの大規模修繕を検討している方はお気軽にご相談ください。